瑠璃紺や青、白藍の糸が織りなす深い青に、白や空色、月白色、長春紅や薄紅、珊瑚色などの色糸が織り込まれ、寄せては返す波のような美しい曲線を描き出す、夏の開き名古屋帯です。
緯糸が透かし目をつくりながらゆらりと揺れる水面のような波模様縞を描き出す波筬織と思われる涼やかで軽やかな風情と、深い海のようなブルーのカラーが見事に調和した、シンプルなデザインの中に豊かな物語を感じる一本は、船の帯留めを添えて蒼海に船出するようなはろばろとした装いを楽しんだり、お花の着物に、小鳥や蝶々の帯留めをあわせ、晴れた空の下の心地よいお散歩にぴったりな軽やかなスタイルに仕上げたり、着物コーデの楽しみをぐんと広げてくれそうです。
ざらっとした手触りの、張りとシャリ感と硬さがありますがとても軽くしなやかな生地で、ゆらりと揺れる波縞を描き出す美しい透け感のある夏生地です。素材は絹化繊の混紡と思われ、コシがあり、風通しや肌離れが良く、暑さ厳しい季節も快適にお過ごしいただけそうです。
手先のみかがられた、開き名古屋帯(松葉仕立ての八寸帯)で、タレ部分は折り返して二重になっており、胴に巻く部分は単になっていて、芯無しの仕立てです。タレの両脇はかがられていませんが、昔の八寸帯(特に夏帯)ではよくある仕立てで、涼やかな情緒がひきたちます。
半幅部分の幅が調節できるので、幅広に締めてレトロな雰囲気で着こなしたり、コーディネートの幅が広がります。