ほのかに藤色をおびたようにも見える霞のような淡いグレーを基調にして、京町家のような屋根の連なりに山鉾がすくっと伸びる祇園祭り文様が染め出された正絹縮緬の袷着物です。
軒を並べた町家に松や楓、樫などの庭木が枝をのばし、町角には烏帽子をのせた公達がたたずみ、勇壮な鉾を伸ばした山車が据えられた祇園祭りの風景文様が、静謐な詩情ただようしっとりと落ち着いた彩りで精緻に染め上げられた一枚は、悪霊や疫病を払うような清々しさと、洒脱な遊び心を楽しむ特別な魅力ある着物姿を作り出してくれそうです。
抑えた中にもほのかな華やぎ香る紅藤鼠色の八掛けも上品で素敵です。
さらりとした手触りの、ごく細やかなシボとマットで上品なツヤ感のでたしなやかな生地で、正絹縮緬と思われます。
エリは広衿です。