蒔糊の技法を思わせる吹雪のような細やかな白の散らし文様浮かぶこっくりとした桃色地に、楚々と咲く梅の花枝が染め出された正絹袷着物です。
凛とした枝ぶりも美しい梅が一幅の絵のような訪問着ならではの美しい構図で表現された一枚は、色数をおさえ余白を活かしたすっきりと洗練されたデザインも秀逸で、ぱっと目をひく華やぎの中に静謐な美しさを感じさせてくれる、しみじみと味わい深い着物姿を作り出してくれそうです。
「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す」の一文を口ずさみたくなるような梅花匂いやかな一枚は、改元のことほぎをこめた晴れの装いにもぴったりです。
さらりとした手触りの、マットで上品な光沢のでた、ごく細かな格子のような織模様浮かぶぷるんとしなやかな生地で正絹と思われます。
エリは広衿です。