蓬草のような渋みのある緑色に、古代紫のような深紫の裾ぼかし美しい地に、そよ風に揺れるような可憐な植物文様と、平安絵巻から写し取ったような姫君と公達の風雅な絵札文様が染め出された、正絹袷の付下げ着物です。
紫式部の花のような楚々と咲く花葉に、源氏物語の三十六帖「横笛」を思わせる絵巻文様で彩られた絵札が重ねられ、乱れ敷く鬘帯のような飾紐文様が余白を優美に繋ぎ、唐花唐草模様がロマンチックな詩情を添えた染模様がうっとりと美しく、はるか昔の物語の世界に心を遊ばせるような魅力的な装いを作り出してくれそうです。
さらりとした手触りの上品な光沢のでたしなやかな生地で正絹と思われます。
八掛けにも花唐草模様がそっと染め出されており、おしゃれ心をひきたたせてくれます。
エリは広衿です。