憂いをおびた青灰色の地に、源氏物語や枕草子の世界を描きだす絵巻物からうつしとったような平安時代の公達や姫君の姿が風雅に染め出された正絹袷の付下げ着物です。
勇壮な松に御所車、檜扇を持つ姫君を垣間見る狩衣姿の公達、浮雲にしだれる藤、楽しげに語らう公達と姫君、桔梗揺れる庭美しい屋敷で向かい合う尼と公達、楓や桔梗美しい庭を簀の子縁越しに眺める姫君たち、みずみずしい青葉紅葉に手習いをする童子などの平安時代の文物が美しく染め上げられ、物語の世界へいざなってくれます。
八掛けにも美しい姫君の姿が染め出されており、さりげないところにもこだわりを感じさせてくれます。
「京友禅伝統工芸士 樽本伊勢蔵」の銘がはいっています。
光の加減で青みが強く見えたり、グレーみが強く見えたりします。
エリは広衿です。
縫い取りの一つ紋がついています。