ふわりとただよう霞のような優雅な曲線を描く、黒と朱のコントラスト美しい空間の区切りに、古典の糸巻き文様が風雅に散らされた紬の開き名古屋帯です。
「いにしへのしづの苧環繰り返し昔を今になすよしもがな(伊勢物語)」の古歌に詠まれた、時を繰り返し絆の糸を手繰り寄せたい切ない恋心に思いをはせるオダマキ(糸巻き)の文様が、叙情詩のような豊かな物語の世界へと思いを運んでくれそうです。
ざらっとした手触りの、しゃきっとした張りとシャリ感のでた、ほどよい硬さがありますがしなやかな生地で、絹化繊の混紡かと思われます。
手先のみかがられた、開き名古屋帯(松葉仕立ての八寸帯)で、タレ部分は折り返して二重になっており、胴に巻く部分は単になっていて、芯無しの仕立てです。
半幅部分の幅が調節できるので、幅広に締めてレトロな雰囲気で着こなしたり、コーディネートの幅が広がります。