光の加減で濃紺色のようにも見える、藍色の霞のような繊細な縞模様が縫い取りのように織りだされた黒の地に、幽玄な詩情ただよう観世水文様が浮かび上がる、夏向けの薄物地の長羽織です。
叙情性と装飾性を兼ね備えたシンプルなデザインを、落ち着いた渋みのあるカラーで表現し、身体のラインに美しく沿いすっきりと着こなしていただける長い丈で仕上げた一枚は、クラシックにもモダンにも幅広いコーディネートにマッチして、端正で洗練された中に遊び心の光る洒脱なコーディネートを作り出してくれそうです。
蔦の葉が唐草のような蔓と枝をあわせて描かれた蔦枝丸の一つ紋が入っています。繊細で風雅な家紋が洒落紋のように素敵です。
ざらっとした手触りの、若干のシャリ感と張りのある、うっすらとしたシボのでた、ごく薄手の光に涼やかに透ける生地で、夏御召のようにも思われますが、通常の夏御召と比べるとしなやかで柔らかです。素材は正絹と思われます。
春先や秋に袷着物に重ねて軽やかな重ね着コーデを楽しんでも素敵ですし、日中は暖かくても朝夕は肌寒さを感じることも多くなる季節のあいまの気温調整にも役に立ち、カーディガンのように楽しんでいただけるとても便利なアイテムです。コーディネートの幅も広がり、少し自信のない帯結びを隠したり、アンティーク着物のダメージ隠しにもなってくれます。また、夏にはクーラー冷え防止のアイテムとしても役に立ち、幅広いシーズンで活躍してくれる価値ある一枚です。
手縫い仕立てです。
※手縫いかどうかについての判断は、スソまわりとソデまわり、ソデ付け、脇線の縫い目で確認しております。それ以外の部分ミシン縫いの場合は見逃しがあることがございますので、ご了承ください。