すっきりと伸びる葉と楚々と咲く花姿が美しい杜若(かきつばた)の花を、よけいな色を加えない紺と白の清々しい二色で染めあげた、ビンテージの注染浴衣です。
写実的な描写と、装飾的な存在感がほどよく調和した繊細なタッチと余白を活かしたすっきりと均整のとれた構図が、静寂な詩情ただよう洗練された美しさを引き立たせています。
まるで竺仙の注染浴衣を思わせるような一枚は、さっぱりとした小粋な風情に、はんなりとした色気がほんのりと漂い、大人の気品あふれる夏の装いを演出してくれます。
さらっとした手触りの、昔の浴衣ならではのしっかりめの綿地で、何回か水をくぐってこなれた風合いがありますが、お召しになっていても生地がよれっとなりにくく、お洗濯をしてもくたっとなりにくいので、長くご愛用いただけそうです。
裏までしっかり染料が通っており、昔ながらの注染の手法で染められていると思われ、自然な揺らぎのある染めのタッチや色のぼかしも味わい深く、風にひらりとかえるスソやタモトにも風情を感じさせてくれます。
エリはバチ衿で仕立てはミシンと部分手縫いです。スソまわりやソデまわりなど着用時目につくところは手まつりです。